待ちに待ったというべきか、ようやく電力線通信PLC(Power Line Communication)の製品の発売が決定した。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/11/13/13922.html

また、電力系NCC6社、家庭向け高速PLCのトライアル。高速PLCモデムを無償提供と発表されている通り、電力系の会社はこの技術に大いに注目しているだろう。
PLCとは、名前の通り通常家電製品などで利用している「電源コンセント」を利用して、家庭内で高速インターネット通信などを行おうという技術である。現在、家庭内では「イーサネット」という技術を利用した「家庭内LAN」が主流であるが、これを利用する場合、データ通信用の別のケーブル(一般にUTPケーブル、LANケーブルと呼ばれるもの)が別に必要となる。新築のインターネットマンションなどでは、既に敷設済みのところも多いが、敷設していないところに新しく敷設するのは、なかなか大変である。敷設済みのところには、電話用のコネクタ(RJ-11)よりの2倍ほどの大きさのコネクタ(RJ-45)が壁のコンセントのような板に取り付けてあるだろう。また、ケーブルを必要としない「無線LAN」という技術もあるが、これについては、自由空間上を「データ」が飛び交うため、セキュリティ上の問題や、電磁波干渉による品質の問題等が挙げられる。
そこで、PLCはどの家庭内にもある電力線をうまく活用しようという技術である。もちろん、インターネットなどの通信を行ったとしても、通常の電気を送れなくなる訳ではなく、一本の線で重畳させるという技術である。通常、国内の家庭内に用いられる交流100Vの電力は、関西では60Hz、関東では50Hzという周波数で送られている。つまり、1秒間に50個、もしくは60個の波をゆっくりと送る。それに対して、PLCはもっと高い周波数の帯域(2~30MHz)を使用するため、互いに干渉が発生しない仕組みとなっている。(下記記事参照)
イメージとしては、ADSLなどの技術と同じ仕組みと思えばよい。ADSLは、4MHz以下の帯域で電話(音声)を送受信し、135MHz以上を利用して、データの送受信を行うことで、一本の電話線を共有しており、さらに既存の電話線を有効活用するという点でもPLCと非常に似ている。このように、同じ線の中で互いに周波数を変えて重畳させる技術は、「周波数分割多重」と呼ばれ、テレビなどを含め様々なところで実際に利用されている技術ではある。
ただし、PLCで使用する帯域は、電波法(周波数の割当は、世界的にはITU-Rにより管理、日本では総務省が管理)により別の用途で既に利用されているため、現在はあくまでも家庭内の利用に限定される。また、周波数を分割しているとはいえ、電磁波漏洩によるノイズの影響もやはり気になるところである。ただ、うまく活用できて期待通りのパフォーマンスが出せれば非常に良い製品であろう。今後が楽しみである。
- Newer: スーパーアグリ アンソニー・デビッドソン
- Older: 調布市の体育館